Hi’z 5 Errand〜はいず 5 えらんど〜

トーキョーN◎VA-The-Detonation

小説

シーン3 Over The Top おまけ

おまけ話第壱話:「冴子課長とあかり巡査の会話・推理編」

ブラックハウンド機動捜査課課長、千早冴子がもう一週間も機動捜査課のオフィスに姿を

見せない鳳翔の机を見ながら呟く。

「鳳翔巡査、今日も来ないわね。

一週間の無断欠勤がどういうことかになるかわかっているのかしら?」

一週間の無断欠勤は、懲戒免職が言い渡されても文句は言えない。

冴子が首をかしげ鳳翔の相棒のあかりを自分のデスクに呼ぶ。

「あかり巡査。鳳翔巡査にきちんと服務規程は勉強させた?」

「ええ。それは、もうばっちりと暗記させました」

あかりが胸を張って答える。

「じゃあ、一週間の無断欠勤がどういうことになるのかもわかっているはずよね。」

冴子の厳しい声にあかりが顔色を変える。

「わかっていると思います」

「そう。じゃあ、厳罰も覚悟の上の行動ということでいいのね」

冴子がため息をつき椅子に体を預ける。

「あの、課長。もしかしたら隊長からの極秘任務についているのかも。

鳳翔巡査と御堂隊長、古くからの顔見知りだし」

慌ててあかりが弁解を始める。冴子が指を三本上げる。

「いいえ。それだけはありません。理由は三つあるわ。

一つ。鳳翔巡査は、過去、極秘任務についた事が無い。

二つ。鳳翔巡査は、そんな繊細な判断が必要な任務に向いてない。

三つ。鳳翔巡査は、騒がしすぎて極秘任務なんてできないわ」

ぐうの音もでないほど完璧な立証をされてしまった。

「あの、もしかしたらどこかで事故を起こして生死の境をさ迷うほどの重傷で連絡が

できないだけかも」

再び冴子が指を三本上げる。

「それもありえないわ。理由は三つあります。

一つ。鳳翔巡査は、超一流の運転技術を持っている。

二つ。警官が事故を起こしたらトーキーがどこからともなく嗅ぎつけて新聞の一面を飾る筈よ。

そして三つ。鳳翔巡査は、事故をおこしたぐらいで怪我をするほどやわじゃないわ。

そのくらいで怪我するならとうの昔に死んでいるはずよ」

その推理にあかりも思わず納得してしまった。

「あの、えーと、自分が警官だということを忘れているのかも」

再び冴子が指を三本上げる。

「いいえ、それは、ないわ。その理由は・・・一つも無いわね」

冴子が上げた指を折りたたむ。

「まあ、ともかく首は、覚悟してもらわないといけないわね。

さすがの私も庇いきれないわ」

あかりが青ざめる。そして何か思い出したようにぽんと手を打つ。

「申し訳ありません。課長。私、鳳翔巡査から有給休暇の届け出を預かっていました。

忙しくて課長に提出するのを忘れていました。今すぐ探して持ってきます」

「そう。それなら早く持ってきて。今ならまだ問題にならないわ」

「はい。申し訳ありません」

あかりが几帳面に敬礼する。冴子がくすりと笑う。

「大変ね。あなたも」

「何の事を言われているのか自分には、わかりません。失礼します」

あかりは、自分のデスクに戻っていった。



おまけ話第弐話:「冴子課長とあかり巡査+1:解決編」

鳳翔が一週間ぶりにオフィスに顔を出した。

相変わらず同僚達に挨拶するとそのままパトロールに出るためオフィスを出ようとした。

「鳳翔巡査!」

誰かが背後で呼ぶ声がする。

振り返ると厳しい表情で冴子が手招きしている。

仕方なく鳳翔が冴子のデスクに向かう。

「課長。何すか?」

「何すかじゃありません。あなた一週間、顔も見せずに何処で何してたの?」

「B◎―S◎サーキットで親父と走ってました」

鳳翔が悪びれず堂々と答える。冴子が頭痛をこらえるように額を抑える。

「あかり巡査。こっちに来なさい」

冴子があかりをデスクに呼ぶ。

「あかり巡査。あなた、鳳翔巡査から有給休暇の届け出を預かったのよね?」

「はい。確かに預かりました」

あかりが頷く。冴子が鳳翔の方を見る。

「鳳翔巡査。そうなのよね?」

「いいえ。違います。そんな届け出、今まで一度も書いた事ありません」

鳳翔が馬鹿正直に大声で告げる。

あかりと冴子ががっくりと肩を落とす。

腹芸というよりもあらかさまな口裏合わせなのだがそれすらもわからない鳳翔の頭が今は、憎い。

「鳳翔巡査。ここは、書いたって言えば全て丸く収まるんですよ」

あかりが肘で鳳翔を小突き小声で告げる。

「何でだ? 俺なんか悪いことしたか?」

鳳翔が頬を指で掻きながら無自覚な口調で言った。

「鳳翔巡査」

冴子が厳しい声で呼びかける。

「服務規程、罰則の項目の第十三条に何て書いてあったかしら?」

「廊下は走るな。走ると反省文を一枚だったかな」

あかりががっくりと肩を落とす。

冴子が目を閉じ考え込む。そして判決を告げる裁判官のように静かな声で告げる。

「鳳翔巡査。一週間の無断欠勤の罰則は、懲戒免職よ。

あなた今、首の瀬戸際にいるの。わかっている?」

鳳翔がようやく事態を飲み込んだようだ。鳳翔が自分を指差す。

「じゃ、俺、首っすか?」

冴子が再び静かに考え込む。

「冴子課長。鳳翔巡査も反省してますのでどうか寛大な処置をお願いします」

あかりが冴子に向かって頭を下げる。

「ほら。鳳翔巡査も頭を下げてください」

あかりに押さえつけられるように鳳翔も頭を下げる。

「わかりました。鳳翔巡査の罰則を告げます」

鳳翔とあかりが冴子の次の言葉を待ち受ける。

「まず自分で言ったように反省文を一枚、提出しなさい。後は、あかり巡査。

鳳翔巡査に有給休暇の届け出の書き方と服務規程をもう一度、勉強させなさい。

以上です」

あかりが敬礼する。鳳翔が釈然としない表情で冴子を見る。

「どうしました?鳳翔巡査」

「いや、何でこんな軽い罰則なのかなあと思って」

冴子が指を三本上げる。

「その理由は、三つあります。

一つ。あなたを簡単に首にできるほど人材に余裕が無い。

二つ。罰則の条項を知らなかったという事から情状酌量の余地有りと考えたから。

三つ目は、」

冴子がいたずらっぽく微笑む。

「あかり巡査に免じてよ」

その言葉を聞きあかりが俯き鳳翔は、不思議そうに首をかしげた。



おまけ話第参話:「アナザーエンディング お馬鹿な鳳翔のせいで台無しの巻。」

「これで一勝一敗だ。次、会う時が楽しみだな」

鳳翔がそう言うと手を差し出す。

ジャンルカがその手を力強く握る。

そしてModel・512の運転席に戻っていく。

振り返らずにジャンルカが静かな声で言った。

「See you again、Over The Top」

そしてそのままModel・512を発進させジャンルカが立ち去る。

「さようなら、てめぇやりすぎだよ、か」

鳳翔がふんと鼻を鳴らす。

「負け惜しみか。まあ四輪じゃできない芸当だからな」

勝ち誇ったように天を仰ぎなら鳳翔が笑った。

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