Hi’z 5 Errand〜はいず 5 えらんど〜

トーキョーN◎VA-The-Detonation

小説

シーン3 三流探偵のいつもの仕事

来栖 優は、NIKに所属する探偵である。

新宿にある薄汚い雑居ビルの二階に住居兼事務所を開いている。そして常に貧乏である。

基本的にお人好しである来栖が弱肉強食の世界であるこのトーキョーN◎VAで報われることはあまりない。

この前もたった三シルバーでマフィアを敵に回して大立ち回りを演じたところだ。

諸経費がかかったので実質的な儲けは、二シルバー足らずだ。

それでも来栖は、幸せだった。何しろ久しぶりの収入だったからだ。

依頼を受ける前は、食料が尽き水で飢えを満たしているような状態だったのだ。

ニシルバーあればしばらくは、飢えずに暮らせる。

「ご主人様。依頼人です」

DAKのバディである年配の執事が画面に現れ来栖に告げた。

「まじかよ!? ようやく俺にも幸せがやってきたか。入ってもらってくれ」

来栖がうれしそうに執事に告げる。心の中で罵りつづけた神と悪魔に謝罪する。

ごめんなさい。あなた達の慈悲と愛を疑った私は、罪深き者です。お許しください。

「かしこまりました」

執事は、一礼すると事務所兼住居の扉を開けた。入ってきたのは、二人。

一人は、赤を基調とした和服がよく似合っている楚々とした風情の美人の女性。

もう一人は、がっしりした体格でサングラスをかけた強面の男性。

左眼の上に刃物で切られたような傷跡が斜めにはしっている。

男の姿は、どこからどう見てもやくざにしかみえない。

だとすると女性の方は、女親分となのだろうか? 

(やくざからの依頼かよ。やばい依頼に違いない)

来栖は、依頼人の二人の姿を見て前言を撤回し心の中でやはり神と悪魔を罵る。

一瞬でもお前達の存在を信じた俺が馬鹿だった。

表面上は、冷静を装い二人にソファー座るようにを勧める。

「私が探偵の来栖です。どういったご依頼でしょう?」

「子犬を探してほしいのです。名前は、白房」

女性の方が鈴のように美しい声で言った。

「ペット探しですか。お任せください。

ペット探しは、これまでにも何件も解決していますから」

ほっと胸をなでおろし来栖が自信満々といった口調で言った。

来栖がペットと言った時に男の方が顔をしかめたが来栖は、特に気にしなかった。

「それでは、ペットの写真は、お持ちですか? お持ちでなければ特徴を教えてください」

慣れた口調で来栖が茜に問いかける。

「写真は、持ってないので特徴だけお教えします。白い子犬で額に牡丹型のあざがあり

しっぽがくるりと可愛らしく丸まっています。あと首輪のかわりに赤い布を首に巻いています。
赤い布の結び目には、光り輝く玉がついています」

「わかりました。その玉って値打ち物ですか?」

「ええ。大変な値打ちがあります」

「それは、急いで探さないと大変なことになりますね。でもこれだけ特徴がわかればすぐ見つかると思います。ご安心ください。

それで報酬なのですが相場では、諸経費込みで一シルバーとなっているのですがよろしいですか?」

「ええ。よろしくお願いします」

女性が柔らかな微笑を浮かべる。

「あとお名前と連絡先を教えていただけますか?」

「私は、犬塚 茜と申します。こっちは、弟の犬塚 仁之介。

連絡先は、このポケットロンにお願いします」

来栖と茜は、お互いのポケットロンの番号を登録する。

「わかりました。大船に乗ったつもりでお待ちください」

「よろしくお願いします」

茜は、礼儀正しく頭を下げると立ち上がり事務所から立ち去った。

仁之介は、無言で立ち上がりジャケットのポケットに両手を突っ込み不機嫌そうな表情で

茜の後につき従い事務所から立ち去っていった。

来栖は、コートを羽織ると事務所から出た。ペット探しの基本は、聞き込みと歩き回ることだ。

何度もペット探しをした来栖が得たコツだ。

来栖は、まず近くの新星帝都大学から聞き込みを開始することにした。

学生がたくさん集まっており噂や情報を集めるのが容易だからだ。

それに近くには、学生向けの定食屋が並んでおり餌も豊富に存在する。

そのため迷子になったペットがこの辺りでよく見つかる。

来栖は、事務所を出ると新星帝都大学に向かって歩き始めた。


シーン2 白い子犬に進む

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